乙女文藝ハッカソン(漫画レビュー 2018/2/18)
”玉ねぎ”、”ニンジン”、”ジャガイモ”、”豚コマ肉”、さて、これらの材料から何ができるでしょう?
おそらくカレーか肉じゃがあたりを想像したのではないでしょうか?(素焼き、ごった煮が限界の僕を超える料理スキルを持つ方はもっと見えるのかもしれません)
では”えっちな話”、”お母さん”、”秘密”で三題話を作れと言われたら?
料理だと材料から完成する品を想像できるのに、物語になると広大な草原の真ん中に立たされたように、完成図はおろか完成までの道筋も見えません。
そんな創作の世界に足を突っ込んだ主人公と一緒に、若干キモいくらい創作論を語ってくる先輩方からいろいろ教えてもらう漫画が乙女文藝ハッカソンです。
別に物語の作り方とかそういう話を聞きたいならハウツー本を読めばいい。おそらくそちらの方が詳しいことが書いているし、ひたすら手法について語っている分よっぽど勉強になるでしょう。
ならなぜこの漫画をお勧めしているか。
この作者、非常に間の取り方がうまく、恐ろしく漫画が読みやすいのだ。
セリフのテンポもあるだろうが、個人的に注目したいのはキャラの表情の多様さ。
この漫画、若干癖のある絵柄をしているが、キャラクタの表情が豊かで顔から感情が読み取りやすい。
そしてその表情で多くを語らせるからこそ余計なセリフがさらに省け、よりよいテンポで読むことができる。
単純に読んで面白いという漫画は他にもあったのだけれど、最近は一番この作品を読み返している。
その理由はそこにあると思う。
乙女文藝ハッカソン(漫画レビュー 2018/2/18)
”玉ねぎ”、”ニンジン”、”ジャガイモ”、”豚コマ肉”、さて、これらの材料から何ができるでしょう?
おそらくカレーか肉じゃがあたりを想像したのではないでしょうか?(素焼き、ごった煮が限界の僕を超える料理スキルを持つ方はもっと見えるのかもしれません)
では”えっちな話”、”お母さん”、”秘密”で三題話を作れと言われたら?
料理だと材料から完成する品を想像できるのに、物語になると広大な草原の真ん中に立たされたように、完成図はおろか完成までの道筋も見えません。
そんな創作の世界に足を突っ込んだ主人公と一緒に、若干キモいくらい創作論を語ってくる先輩方からいろいろ教えてもらう漫画が乙女文藝ハッカソンです。
別に物語の作り方とかそういう話を聞きたいならハウツー本を読めばいい。おそらくそちらの方が詳しいことが書いているし、ひたすら手法について語っている分よっぽど勉強になるでしょう。
ならなぜこの漫画をお勧めしているか。
この作者、非常に間の取り方がうまく、恐ろしく漫画が読みやすいのだ。
セリフのテンポもあるだろうが、個人的に注目したいのはキャラの表情の多様さ。
この漫画、若干癖のある絵柄をしているが、キャラクタの表情が豊かで顔から感情が読み取りやすい。
そしてその表情で多くを語らせるからこそ余計なセリフがさらに省け、よりよいテンポで読むことができる。
単純に読んで面白いという漫画は他にもあったのだけれど、最近は一番この作品を読み返している。
その理由はそこにあると思う。
パンダ探偵社(漫画レビュー 2018/2/12)
なんで去年12月に教えてくれなかったんですかーもー
俺マン投票終わっちゃったじゃーん…って去年なった作品。
”変身病”というアイテムを使って人間と人間じゃないものの狭間という非常に扱いにくいテーマを扱っている。
そのくせ柔らかいタッチの絵でまったく重さを感じさせない。
まだ1巻だが、正直ここからつまらない作品に落ちることは無いでしょう。
前回の投稿でウェブトゥーン(縦書き漫画)のことを話したので、パンダ探偵社についてはコマ割りについての話を掘り下げたい。
正直私はスマホの漫画アプリが好きではありません。
スマホの狭い画面では、見開きが非常に読みづらいから。
そして、見開きが読みづらい漫画アプリが広がると、見開きの表現が使われなくなってしまうと思うからです。
スマホに最適化した表現に進化するのでは?という意見もあるかもしれないが、「右ページ左ページ同時に見る従来の漫画」と、「1ページずつめくる漫画アプリ」では私には単純劣化に見えてしまうのです。
そんなもやもやした気持ちを抱えながら漫画を読んでいると、見開きぶち抜いたコマが無いだけで「この漫画アプリのせいで遠慮しているのでは…?」とよくわからないもやもやを抱えてしまうのです。
そんなわけで見開きのコマが大好き派の私。
パンダ探偵社の見開き表現に震えました。
こんな便所の落書きに1ページ貼っても仕方ない。1話にあるから今すぐ見開きで見れる端末で読んでほしい。
どうせトーチで公開しているから↓
to-ti.in
見開き以外のコマ割りもとても凝っていて見ていて楽しい。
左のページのようにこの漫画はコマとコマの間に当たり前のように隙間がある。また、コマの上にもコマが乗っかる。(海野チカみたい)
もしこの漫画を読むことがあったら、ページの空白を意識して読んでほしい。
核心のページほど隙間があって白い。
しかしその隙間の使い方がとてもカッコよいのです。
アフター6ジャンクションの縦読み漫画の話が面白かった件
東村アキコ先生がアフター6ジャンクションというラジオでウェブトゥーン(スマホアプリの縦読み漫画)を語る回がかなり面白かった。(2017/12/4放送)→ 全文がこちらに
ちなみに続編として関西外国語大学行使の方がウェブトゥーンを語る会アリアフター6ジャンクション(2018/1/8放送)
2つの特集を聞いて縦読み漫画への印象が変わったのでその話をしたい。
東村アキコさん回のあらまし
海月姫やかくかくしかじかの作者である東村アキコ先生がウェブトゥーンの形式で連載をしているらしく、実際に書いてみての感想や、現在のウェブトゥーンの状況について語っている。
- ウェブトゥーンとはweb連載 、縦スクロール 、フルカラーの3つを満たす漫画である(東村先生定義)
- ウェブトゥーンは2000年ごろの韓国のweb上で発展したフォーマットであり、現在も韓国が本場である
- 雑誌に縛られないため、1話のページ数に自由が利く
- 縦スクロールは時間の流れを感じやすく、縦スクロールだからできる表現がある
- 東村先生はウェブトゥーン連載に当たり、「普通の漫画を書く→編集さんが縦スクロールに直す」という作業をしている
縦スクロール漫画=落語
(東村アキコ)あの、間違って枠線引いてもそのままやるぐらいの感じです。私ね、漫画はセリフが大事だと思っているんで。コマはね、あんまり関係ないんじゃないかなって思ってるんですよね。
(宇多丸)ああ、それもすごいな。その意味では、先ほどおっしゃっていたけどウェブトゥーンはよりセリフの比重というか……。
(東村アキコ)そうですね。セリフの割合が大きいと思っていますね。
(宇多丸)そのことによって、さっき言った見せ場に関してはまたやりようがあるかもしれないけど、漫画の主流的な内容もひょっとしたら変わってくるかもしれないですね。じゃあね。
(東村アキコ)そうですね。だから会話劇になると思っています。私はだからウェブトゥーンをやるとなったら、もう縦だしたぶん会話劇で、会話が面白い人たちのスタイルになるんじゃないかな?って思ってやっていますけどね。
(宇多丸)それこそ昔から、日本漫画の伝統として言われる、手塚治虫から始まっての「映画的」って呼ばれる、そのダイナミックなコマ割りと……。
(東村アキコ)『来るべき世界』の最初、すっげー衝撃みたいなことですよね。
(宇多丸)みたいな伝統が縦になることでなくなってしまうんじゃないか?っていう……。
(東村アキコ)もう落語になると思っている。落語に戻ると思っている。この間、落語をひさしぶりに、縦スクロールをやった上で落語を見てみたら、「縦スクロールやん!」って思いましたけどね。落語を見ていて。
リンク より引用
通常の漫画とウェブトゥーンの読者層は分かれている?
(東村アキコ)やっぱりWEBで無料で縦スクロールで連載したら、もう私の漫画を読んだことがないっていう人からの反響がすごいあって。それってやっぱりもう初めてというかね。何なら。そういうのはすごいびっくりしたし。まあ、そりゃそうなんですけどね。ネットだから。
(宇多丸)っていうことは、そのウェブトゥーンをメインで読んでいる層と、いわゆる昔ながらの漫画の形態を読んでいる層は結構分かれている?
(東村アキコ)私の感覚ではまったく別だなっていう感じがしますね。だってやっぱり高校生とかは私の漫画はそんなに、まあ漫画好きなね、ちょっとマニアみたいな子は読んでくれてたけど、普通の女子高生みたいな子が割と読んでくれてるっていう。
(宇多丸)うんうん。漫画ってやっぱりその一定の文法があってこそ読めるものじゃないですか。だからちょっと、ジャンプの漫画に一瞬離れると、もうジャンプの文法が読みづらくなっちゃっていて、読めないみたいなことがよくあるじゃないですか。そういう意味では、最初から縦スクロール的な、ウェブトゥーン的な文法に慣れている人からすると、昔の漫画は読みづらいとか?
(東村アキコ)韓国の若い子たちっていうのはもう縦スクロールで慣れちゃっていて。結局そっちが主流というかメインストリームなんですよ。完全に。だからやっぱりね、昔は日本の漫画ですごい韓国で大人気だし、本屋さんも日本と変わらないんですよ。漫画喫茶も全然変わらないの。韓国版で同じ漫画が並んでいる。でも、最近の若い子はやっぱり読みづらいっていうか、「絵が込み入りすぎてて読みにくい」って言ってちょっと離れてるんですよね。だからやっぱり、うん。
(宇多丸)はー! 絵が込み入りすぎている。やっぱりスマホで見るものだから。これ、後ほどの中身の話にもなりますけども。絵は基本的にシンプルにとかっていう文法があるわけですね。
(東村アキコ)そうなんですよ。
リンク より引用
ラジオを聞いてウェブトゥーンに思うこと
正直横読みの漫画をスマホで読む時、字が小さすぎて読見づらい、見開きが二分割してしまいモヤッとする、といった経験がある人は多いと思う。
スマホでしか漫画を読まないというライトユーザーには縦読みの方が馴染みがあるという人が出てきてもおかしくないのかもしれない。
問題は「将来的にどちらがマジョリティになるか」だと思う。 個人的には横書きの漫画のページごと、見開きごとの場面展開、構成が好きだ。なので横書きの漫画に頑張ってほしい。
現在はKindleなどの電子書籍が縦書きに対応してしないため、かなり横書きに分があるように感じるが、東村先生の言う通り現在の小学生世代がもし縦読みの漫画の方が馴染みのある世代なのであれば将来的に立場が入れ替わることがあるのかもしれない…。
ちなみに熊倉献先生のウェブトゥーン、生花甘いかしょっぱいかとっても面白いのでおすすめです(宣伝)